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          どう見る Oracle 対 Google の知財訴訟


 Oracle は現地時間の今月の8月12日、Google を北カリフォルニア地区連邦地裁に提訴した。
Google が配布している Android が、Oracle の特許権及び著作権を侵害しているという。
具体的には、Google が Androidプラットフォームのために設計・開発した Dalvik VM(Dalvik仮想マシン)をターゲットにしている。
ここで、Oracle のいう特許とは、米国特許番号6,125,447、6,192,476、5,966,702、7,426,720、RE38,104、6,910,205、6,061,520 の7件。
いずれの特許も、もとはと言えば Sun Microsystems のもの。
それが、昨年の2009年4月20日、Oracle が Sun Microsystems を買収した際に、これらの特許権も Oracle に移転された。

 さて、Google が開発し、積極的にその展開を推し進める Android 。
Dalvik VM を軸として、Java のライセンスを「受けることなく」作られている。
この「受けることなく」が、どうも今後の争点になりそうだ、と、筆者は考える。
というのは、旧 Sun Microsystems にて Java の開発に関わったエンジニアが Google に転職。
彼らが、現在、Android に関わっているからだ。
つまり、Google に言わせれば、「当該特許を知り尽くし、かつ、関連ノウハウも身に付けた彼らが、これら特許を回避すべく Android なり Dalvik VM を設計し開発した。だから、非侵害」。
一方、Oracle あるいは、旧 Sun Microsystems にしてみれば、「そのような彼らに設計させ開発させたこと自体に悪意があり、不正行為で許せない」ということになる。特に Oracle にとっては、だ。


 思えば、Oracle による Sun Microsystems の買収。
これは、世間では驚きでとらえられた。

 その直前まで、Sun Microsystems の買収に積極的だったのは IBM 。
Wall Street Journal の報道によれば、IBM からは当初、買収金額として、現金で65億ドルが提示されたとのこと。
その後、IBM 側はちょっと熱が冷めたか、提示額が、1株当たり9〜10ドル(総額53〜59億ドル)に下げられたとの報道。
すると、その直後、Sun Microsystems は、IBM からの買収提案を拒否。
そして、今度は、その2週間後、Oracle による Sun Microsystems の買収報道。
それも、その買収金額は、1株あたり9.50ドル、総額56億ドル程度というから、金額的には IBM のそれと同程度だ。
何故 Sun Microsystems は売却先として、IBM でなく Oracle を選択したか。
Oracle の特許権に対するしたたかさがあったということか。

 そもそも、Android にまつわる知的財産問題。
これは、Google が 2007年に Android と Dalvik の計画を発表した時点で既に始まっていた。
当時の Sun Microsystems は、Google と交渉。
しかし、ライセンス契約を結ぶまでには至らなかった。
ただ、Sun Microsystems は Google に対して、その後、特に、とがめたりはしなかった。
それは、それ以上もめても、資金面などで、あまりメリットがないと見たのだろう。
訴訟などで波風を立てるのを嫌うという企業風土もあったのかもしれない。
ところが、Oracle は違った。
Sun Microsystems を買収するや、早速、Googleとの交渉を再開。
だが、ライセンス料金をめぐり折り合いがつかず、結局、両社の話し合いは決裂。
そして、今回の提訴となった。


 果たして、Google は特許権若しくは著作権を侵害しているのか否か?
侵害している。いや、侵害していない。あるいは、微妙、等々、巷の意見は割れている。

 今回の訴訟。
侵害の有無はもちろんだが、両社の訴訟テクニックにも興味津津。

 Oracle は、実績のある弁護士を雇い、かつ、陪審裁判を請求。
これは明らかに陪審員の心情に訴えることも狙っている。
又、Android が世界的に普及してきた今、高額のライセンス料が期待できる。
更に、相手は比較的歴史の浅い企業である Google だが、保有特許数は年々増え続けており、仮にクロスライセンスということになった場合、Oracle の取り分は、今後は減少する可能性がある。
従って、提訴のタイミングとしては「今」なのだろう。

 対する Google 。
Oracle による提訴は「オープンソースへの攻撃」と批判し、一歩も引かない。
この狙いはもちろん、知的財産権の侵害云々の論点を巧みにそらし、同時に、オープンソースコミュニティを味方につけること。

 予断を許さない この Oracle と Google の争い。
「オープンソース」と「知的財産権」の戦いという側面があり、その行方はもちろんだが、火花を散らす両社の訴訟戦術にも注目したい。


≪関連サイト≫
アンドロイド、日本にも"風" iPhoneの牙城に挑む
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100824/bsc1008242137015-n1.htm
Oracle、Googleを提訴――AndroidのJava特許侵害で
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1008/16/news011.html
OracleのGoogle提訴、前進を選ぶならAndroidとChrome OSの融合も
http://journal.mycom.co.jp/column/svalley/379/index.html
Javaをめぐるオラクルのグーグル提訴--サン時代に撒かれた不満の種
http://japan.cnet.com/news/commentary/story/0,3800104752,20418412,00.htm
Javaの父、GoogleのAndroid戦略に「苦言」?
http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/articles/0906/24/news008.html
『Ubuntu』の生みの親、Oracle による Google 提訴に不快感
http://japan.internet.com/busnews/20100817/12.html
Google、Oracleの提訴に反撃――Androidとオープンソースを防衛へ
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1008/17/news030.html
Oracleは「悪の枢軸」――Adobe幹部が批判
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1008/25/news088.html
ラウンドアップ:オラクル、サン買収に至るまでを振り返る
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20391994,00.htm

2010年8月 山田康男
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