お問い合わせ   リンク  
SanZeeBaaのトップへ
ニュース!メルマガ特許開発・特許調査・特許出願・特許権活用・他社特許対応・講座会員ページ会社概要
 




          「知的財産推進計画」も「政治主導」で!


 政府は、新たな知的財産推進計画を、今年6月までに策定するという。

 鳩山首相曰く「日本は知的財産戦略が十分でなく、いつの間にか後れをとってしまった」。
この発言が具体的に何を意味するのか、不明ではある。
だが、「麻生政権がまとめた計画を全面的に見直し、鳩山政権としての改革の方向性を示す」という点は、大いに期待したい。


 ここで、前政権が策定した「知的財産推進計画2009」を見てみよう。
その詳細内容については関連サイトで確認していただくとして、参考までに、重点施策項目のみ列記すると、下記の通り。
いやはや、重点施策だけでも大変な項目数だ。
それに、「推進計画」とは言っても、具体的に「何を、どこまで、いつまでに」行うのかといった「計画の実体」が、ここには無い。
恐らく、計画の具体化作業は各担当省庁に委ねられているのだろう。
だから、これらの全体の計画作成に要した関係者の苦労とコストは膨大なものになる。


 さて、この「知的財産推進計画2009」。
ざっと眺めた限りでは、良くまとまっているようだ。
だが、各項目をつぶさに精査すると、いろいろ問題点や疑問点が浮かび上がってくる。
痒いところまで、手が届いていない、つまり、「隔靴掻痒」の感がある。

 細かなことを挙げればきりがないが、次の2点だけ指摘したい。

(1)「知的財産推進計画」若しくは「知的財産戦略」は、「技術戦略」と一体不可分の関係にあるが、その関連性が不明。

 政府は、新成長戦略の基本方針を発表。
「環境・エネルギー」「健康(医療・介護)」「アジア」「観光・地域活性化」「科学・技術」「雇用・人材」の6つを重点分野とし、今後10年間で100兆円超の需要創出を目指す。
そして実行計画となる工程表を、今年6月までにまとめるという。
当然のこと、この実行計画若しくは工程表には、「電池」「ロボット」「水処理」等基幹となる技術戦略が織り込まれることになるのだろう。
ここで重要な点は、これら「技術戦略」と「知的財産戦略」が強固に結び付いていなければならないということ。
過去はともかくとして、今後の計画立案時には考慮したい。

(2)基礎研究、それも独創的シーズに傾注しすぎ。実用化研究も支援すべき。

 もちろん、大学や企業自らが行うべき研究は、ここでは対象外。
そうではなく、それらの狭間にあるものを集中的に支援すべきだ。
例えば、医薬分野。
大学は概して予算不足で、多くの研究は「in vitro(試験管内)」止まり。
一方、殆どの企業は、リスク回避のため、「in vivo(生体内)」データ、つまり、動物実験データの裏付けを望む。
この両者の食い違いは、大学特許の企業への技術移転を困難にしている大きな要因の1つにもなっている。


 日本経済にとっても、今後10年が勝負。
「知的財産推進計画」の立案は、くれぐれも役所任せにせず、これこそ「政治主導」で行いたい。
そして、「知財立国」に向けて、力強く更に前進。。
そんな「知的財産推進計画」を、是非とも望みたい。


【知的財産推進計画2009・重点施策項目】

1.イノベーション促進のための知財戦略を強化する

(1)技術革新や市場変化に的確に対応した知財制度を構築する
  @特許制度の在り方を総合的に見直す
  A先端医療分野における特許保護に係る対象の見直しや明確化等を行う
  B社会的ニーズの高い分野における特許取得を支援する
  C権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)を導入する
  D特許審査処理を迅速化する

(2)大学、中小企業等の知的財産の総合プロデュース機能を抜本的に強化する
  @産業革新機構の体制を整備する
  AiPS細胞技術の事業化を加速する総合支援体制を構築する
  B大学の知的財産本部やTLOの統廃合・専門化により機能強化を図る
  C産学連携における外部機能の積極的活用を促進する
  D革新的な知的財産の創造基盤・支援体制を強化する
  E大学発のイノベーションを加速するため、知的財産システムを見直す
  Fものづくり中小企業の知的財産の創造・活用を支援する
  G地域金融機関における知的財産の活用を促進する
  H地域における産学官の共同研究開発を加速する
  I地域知的財産戦略本部における第3フェーズの活動方針を策定する

(3)イノベーション創出に資する知的財産人材を育成する
  @研究開発戦略・知財戦略・事業戦略の三位一体化を担う人材を啓発・育成する
  A地域における知的財産教育を推進する

(4)オープン・イノベーションの進展に対応した環境を整備する
  @適切な権利行使の在り方を検討する
  A未登録の通常実施権の保護制度(当然保護制度)を検討する
  B実施許諾の意思の登録制度の導入を検討する
  C営業秘密侵害の抑止力を高めるための法制度を整備する

2.グローバルな知財戦略を強化する

(1)世界知財システムの構築等に向けた取組を強化する
  @特許審査の国際的ワークシェアリングを拡大する
  A特許制度の国際調和を我が国が主導する
  Bハイレベルな知的財産外交を推進する
  Cアジア諸国に対する知財人材育成等に対する支援を推進する

(2)海外での模倣品・海賊版による被害を低減させるための取組を強化する
  @模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)の早期妥結を目指す
  A侵害発生国・地域に対する具体的要請を強化する
  B税関における水際取締り体制を強化する
  C警察における取締りを強化する
  D模倣品・海賊版に関する国民への啓発活動を強化する
  E著作権侵害コンテンツを排除するための取組を強化する
  F海外におけるインターネット上の著作権侵害コンテンツ対策のための基盤を整備する
  Gインターネット上の著作権侵害コンテンツの取締りを強化する

(3)海外展開や海外リソースの活用を促進する
  @海外の知財関連情報の提供を強化する
  A我が国地名等に係る海外の商標登録問題に対処するための体制を強化する
  B中小・ベンチャー企業による外国出願を支援する
  C中小・ベンチャー企業の海外への事業展開に対する支援策を拡充する
  D大学の国際的な産学官連携活動体制を整備する

(4)国際標準化活動を強化する
  @企業における経営者層・管理職層の意識を改革する
  A研究者の業績評価を改善する
  B標準技術を円滑に実施可能とする方策を検討する

3.ソフトパワー産業の成長戦略を推進する

(1)ソフトパワー産業の振興を図る
  @ソフトパワー産業における中小企業支援策の活用を促進する
  A地域におけるソフトパワー産業を育成する
  B新しいメディアを活用した新規サービスの創出を促進する
  Cデジタルシネマ設備の整備を支援する
  Dコンテンツの取引支援システムを構築する
  Eコンテンツの円滑な流通に適したコード付与を促進する

(2)クリエーターの創作環境を充実しその育成を図る
  @文化資源のアーカイブ化を推進する
  Aメディア芸術の国際的な発信拠点を整備する
  B若手クリエーターを育成する

(3)ソフトパワー産業の海外展開を強化する
  @コンテンツの海外展開を促進する
  A日本ブランド発信イベントの機能を強化する
  Bクリエーター海外派遣団事業を実施する
  Cアジア・コンテンツ・ビジネスサミットを開催する

(4)拠点地域における発信力を強化する
  @在外公館における支援機能を強化する
  A在外公館等を活用した日本ブランドの発信を強化する
  Bアジア地域に対する戦略的な発信を強化する
  C海外におけるコンテンツの規制緩和を働き掛ける
  D侵害発生国・地域に対する具体的要請を強化する

(5)訪日促進等を通じて認知度の向上を図る
  @ビジット・ジャパン・キャンペーンを推進する
  A外国人富裕層への地域資源に関する発信を強化する

(6)ブランド力の向上に向けた取組を促進する知財制度を構築する
  @農林水産品に対する地理的表示制度(GI)の導入に向け検討する
  A不使用商標対策を強化する
  B利用者の利便性を高めるための商標制度の見直しを行う
  Cデザイン創作活動を促進する意匠制度の在り方に関する調査・研究を行う

(7)デジタル・ネット時代に対応した知財制度等を整備する
  @権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)を導入する
  A著作権法上のいわゆる「間接侵害」を明確化する
  B契約ルール等の確立により、デジタルコンテンツの流通を促進する
  Cクリエーターへの対価の還元を適切に行うための環境を整備する

(8)インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策を強化する
  @著作権侵害コンテンツを排除するための取組を強化する
  A海外におけるインターネット上の著作権侵害コンテンツ対策のための基盤を整備する
  Bインターネット上の著作権侵害コンテンツの取締りを強化する

4.知的財産権の安定性・予見性を確保する
  @無効判断の原因分析を行う
  A特許審査結果の安定性確保に向けた方策を検討する
  B国内外の特許文献と非特許文献のシームレスな検索環境を整備する
  C特許の有効性判断に係る紛争処理スキームを見直す
  D著作権法上のいわゆる「間接侵害」を明確化する
  E意匠の権利範囲を明確化する
  F審査基準策定過程を透明化する
  G知的財産に強い法曹人材の育成状況を調査する

5.利用者ニーズに対応した知財システムを構築する
  @行政サービスの質の向上に向けた取組を強化する
  A著作権登録制度の運用を改善する
  B審査基準を明確化する
  C中小・ベンチャー企業に対する特許手数料減免制度を見直す
  D出願人のニーズに応じた審査処理スキームを構築する


≪関連サイト≫
知財立国目指し2010年6月までに新知財計画
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091209AT3S0803R08122009.html
イノベーションへ向けた農林水産知財の活用戦略を構想
http://www.business-i.net/event/intellectus/item/n_280.html
知的財産推進計画2009
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/090624/2009keikaku.pdf
第3期知的財産戦略の基本方針
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/090507siryou.pdf
「知的財産推進計画2008」の実施状況に対する評価
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/090624/sankou1.pdf
10年で名目3%成長 成長戦略を閣議決定
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20091230-OYT1T00405.htm?from=navlp

2010年1月1日 山田康男
 バックナンバー 2010年 1月 
                          2009年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 
                          2008年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 
                          2007年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 
                          2006年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 
                          2005年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 
                          2004年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 
                         
2003年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 
                         
2002年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
                                お問い合わせ