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■ Sブランとブランサワー
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≪KNEADER BAKING
'87 通巻43号(昭和62年10月30日発行)より引用。≫ 発行者:大地修造 おおちけいこパン教室
友の会(非売品)
白パンの小麦粉と全粒粉との違いは、胚芽や繊維質の有無である。製粉時にわけられる。 分けて製パンすると全粒粉パンの難しさが軽減できる。 簡単なことである。 しかし、製粉会社の大変なご協力を得ても道は近くはなかった。 簡単なことは難しいことでもあった。 繊維質も胚芽も細分しすぎない。 繊維質に付着しているミネラル分の多い胚芽質(小麦粉)は加える。 熟成のさせ方、保存の方法は、と問題は増すばかりである。 パンづくり以前の、材料の研究に長い年月を要した。
胚乳部の熟成はエジプト以来の伝統の方法でできるが、胚芽、繊維他の熟成は未知の分野であった。 研究中に、この熟成法は胚乳部にもより有効であることが分かった。 「沙羅」の原形はこの段階でうまれた。 SLである。 SLから液沙羅になった。 胚芽、繊維質、他を熟成させたのがSブランである。
Sブランは1976年12月に原形ができ、それを配合したパン、ブランサワーができた。 ブランサワーは全粒粉パンの約二倍半から三倍、胚芽、繊維質が多い。 Sブランの風味向上研究は現在も続いているが、ブランサワーは当時から変わっていない。 翌年はじめから、希望の方にSブランをつかっていただくことになった。 希望者は少なくはなかったが、Sブランは寒のうちからしばらくの間しかつくれなかったし、冷凍で保存する必要があった。 聞いたことはあるが食べたことはない幻のパンといわれた。 努力してもつくれる数は極めて少なかったのである。 特に、熟成させる微生物の管理には手をやいた。 微生物の菌種に問題があった。 不良Sブランになることは珍しくなかった。 菌株の保存に一応のめどがついたのは昨年(1986年)のことである。 全粒粉を小麦粉とSブランに分ける製パンはヨーロッパの研究員の称賛を得た。 ただし、菌株の選択、保存は製パンとは別の専門分野に属するので、ブランサワーは今も研究課題になっている。
全粒粉を二分したことの利点は大きかった。 小麦粉は製粉後、数十日のねかせを経て製パンに適した性質になるが、胚芽などはこの間に酸敗、変質する。 製粉も小麦粉は細分したいが、胚芽、繊維質は細分したくない。 小麦粉は任意のを選択できる。 イーストは胚芽の脂質、蛋白質に代謝しない。 胚乳部と胚芽では熟成の度合いは同じではない。 これらの矛盾が全粒粉製パンを難しくしていたが、二分することで矛盾はなくなる。 さらにおおきな利点は全粒粉の胚乳と胚芽、繊維の割合を1として、1/3、1/2、1、2、3倍と任意の割合にできることである。 Sブランの配合率できめられる。 ブランサワーは全粒粉パンの3倍近い胚芽、繊維質がある。 全粒粉パン以上のパンといえる。
Sブランに数十種の有用乳酸菌、酵母群を活性をもったまま保存させた。 1回目のニーディングの小麦粉に働きかけること、ポット内熟成を省略することも、または延長して、まろやかな風味をもたせたり、酸味の強いブランサワーにする利点があるからである。 また、製パンは標準法食パンと同じか、少し楽にできるようになった。 ブランサワー以外に普通のパンの2回目の小麦粉の一部を任意量のSブランに置き換えることで、より健康的で風味の良いパンができる。 現用新Sブランは昨年(1986年)完成したが、強制劣化試験の結果から常温で数年は保存できそうである。 開封した時は、常温で5日、冷凍で1ヶ月、保存可能である。
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